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序章では、主人公が政府・官公庁と言った原子力ムラの中枢の実態を探る目的で些細なテロを配下の者たちに命じる。だが、主人公が見たものは原発マネーで私腹を肥やす脆弱な集団でしかなかった。2章では主人公と後に恋人となる女性の出会い、シャーマン的な要素をもったジャズ・ブルース・シンガーであるサーシャの登場、97年3月に生じた東都電キャリア・ウーマン殺害事件が語られ、そして、レッド・ツェッペリンの曲「天国への階段」の歌詞の内容に触れ、自らが的確な原理に基づいた確信をもつことの重要性が語られる。この的確な原理に基づいた確信をもつことの重要性が、筆者が読者に投げかける大きなメッセージの1つである。


3章では、主人公の父親が原発労働者として被曝して死んでいく回想シーンとなるが、主人公の恋人となる美穂が「民主主義なんて嘘っぱち!日本に民主主義なんてない!」と憤り、主人公が「作り替えなきゃならないんだよ、日本の民主主義を。だが、作り替えた民主主義だって不完全だから、それを補完する何かが必要なんだ」と語る。これも、筆者が読者に投げかける大きなメッセージの1つである。そして、主人公は東日本大震災に遭うが、主人公は宮城県に赴き被災者の言葉を聞くが、これは筆者が実際に宮城県に行き、被災者の方々から聞いた生の声である。是非とも読んで頂きたい「声」である。


4章ではエンターテインメント性を織り
込み、主人公と親友のリョウを中心と
した中国人マフィアとの戦闘、世界最
強の軍人であるジョニー・フレイジャー
たちとの戦闘が展開される。このシー
ンで沖縄県民の比嘉恵達がジョニ
ー・フレイジャーに投げかける言葉が
あるが、これも読者には深く考えて頂
きたい言葉である。

5章のタイトルは「フクシマを返せ!」
であるが、原発事故に苦しむ福島
県民の状況を知って頂きたい。但
し、この状況は2012年のゴールデン
ウイークまでのものであることを、お許
し願いたい。6章では、第一原発3
号機の爆発について、著者の見解
が述べられており、また、創作ではあ
るが東都電キャリア・ウーマン殺害事
件の真相が解明される。ここで、デ
ヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」の歌詞
が登場するが、それが7章へとつなが
る。


7章がいよいよ物語の佳境となるが、この章では20世紀文明の大きな特徴である「産業主義・商業主義」の下、日本が破滅の道を歩んでいる過程が書かれてあり、それを克服する方法、また、正しいマクロ経済政策の方法、誤った企業の在り方の是正方法、民主制を有効に機能させる方法と言った、社会科学上の考察がなされるが、会話文型式になっていることから、大変読みやすく仕上げられている。この7章が、著者が読者に訴えかけたい最大の一節である。


そして、最終章。日本が再生を果たし
た姿が描かれるが、ここでも社会科学
上の考察がなされるものの、モノロー
グ型式となっていることから、読みやす
い仕上がりとなっている。

左の写真は、物語の副主人公(?)
であるサーシャをイメージしたもので
す。