『天国への階段』 詳細・2



デヴィッド・ボウイ 「ヒーローズ」訳詞  翻訳・葛西唯史
2013年5月31日

私は王になり 貴女は王妃となろう
私たちに救いはないが きっと私たちは奴等に打ち克てよう
いつの日にか 私たちはヒーローに

貴女は惨めさを噛み締めて 私は酒浸りの日々
私たちの愛は確かではあるけれども それはただ
私たちだけの愛

私たちの世界は今も荒んでいるが あの者どもを打ち負かす時
私たちの愛は ヒーローとしての愛

イルカの様に速く 自由に泳げたらと思う
助けを求めることなく 醜悪な者どもを倒して
いつの日にか 世界中を私たちの手に

この私が王 そして貴女が王妃
救いは何処にも無いが 闘いは続く
私たちがヒーローになる その日まで

私は今もって忘れはしない
ベルリンの壁際に佇む 私たちの頭上で絶えない
銃弾のなか 私たちは口づけを交わした

だが一方に恥辱があるものの 世界を奴等が支配する限り
私たちの愛は永遠に無力なものだ
ヒーローにならねば 世界を掌握する愛でなければ
いつの日にか私とともに 私たちの誰もが
一人一人がヒーローに
まだ誰もが纏まっていない今 ただ皆が独りよがりを言うだけ
いつの日かヒーローに
そうなのだ 私たちは確かな愛で
今直ぐにではなく 来るべきその日に
いつの日か私とともに 一人一人がヒーローになろう
確かな愛で
今直ぐにではなく 来るべきその日に

「ヒーローズ」の歌詞を引用した理由について
2013年5月31日





1976年のことだったと記憶しているが、デヴィッド・ボウイは長年のコカイン中毒の治療の為に、西ドイツのベルリンに行った。それから彼はベルリンに滞在したまま、『ロウ』という大傑作アルバムを制作・発表し、その後、『ヒーローズ』という、これまた大傑作アルバムを制作・発表した。1977年のことだ。ロック史上、希有な天才であったデヴィッド・ボウイの才能の頂点のことであった。
ボウイはアルバム・タイトル曲の「ヒーローズ」を、ベルリンの壁を見つめながら、壁の向こう側(即ち、東ドイツ)に想いを馳せ、共産主義社会に怒りを覚え、書いた。
これが、私が、小説『天国への階段』に引用した理由だ。
私は、共産主義国家を原子力ムラ(原子力マフィア)に置き換え、小説の主人公たちが原子力ムラ(原子力マフィア)を殲滅する為に立ち上がる前置きとした。
原子力ムラ(原子力マフィア)が存続する限り、日本の中央集権体制は維持され、地方分権が成されず、地方自治の確立も成されない。即ち、本来有るべき民主主義の礎さえが築かれないのが現状だ。
私の原子力ムラ(原子力マフィア)に対する怒りが、「ヒーローズ」の歌詞を引用させた。
私たちが闘うべき敵は、原子力ムラ(原子力マフィア)なのだ。